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特集


尽きぬ探究心で生産に向き合う


福島を代表する桃「あかつき」。
8月になると福島市内の郊外で、見事に実った桃をあちこちで見ることができます。
そして、ちょうどこの日が今年最初の収穫だという、福島市飯坂の斎藤果樹園を訪ねました。

農業はものづくりの究極

2012年8月8日の早朝。夜明けとともに2ヘクタールの広大な果樹園では、すでに多くの人たちが園内に散らばり今年最初の収穫を行っていた。
あかつきは白桃と白鳳を交配させた福島を代表する品種で、ほかの桃よりちょっと硬めで日持ちするため、赤々とした見た目と相まって贈答品としてよく用いられる。
園内の中央に、一つひとつ丁寧にもがれた桃が次々に集められ、それをさらに吟味しながらケースに収める斎藤康之さんの姿があった。
昭和45年生まれの斎藤さん、実は今年が6回目の桃づくりだ。
所謂、二代目の跡取り。以前は外資系医療機器メーカーでサラリーマンをしていた。
それまで両親だけで管理していた農園を、斎藤さんの一念発起をきっかけに、奥様も仕事を辞め、家族全員で取り組むことになった。農業へ突き動かしたのは、ものづくりへの強い思い。
「果樹の生産は最高に楽しいですよ」と斎藤さん。
美味しい物を自ら育て、作る楽しみ、人に喜んで食べてもらえる楽しみ、毎年試行錯誤しつつもどこまでも探求し続けられる奥の深さ…。知れば知るほど可能性は広がり終わりがない。
農業はものづくりの究極なのだ。
「ね。ほら、どんどん(農業を)やってみたくなってきたでしょう?」と熱く語りながら笑みを見せた。


安全で美味しい果樹作りにさらなる努力を重ねる

福島の果樹農家をはじめ農業生産者は、震災以降、食の安全についてとりわけ神経を尖らせている。
言うに及ばず、消費者の放射能に対する反応は厳しい。原発事故はここ斎藤さんの農園にも大きな影響を与えた。
注文が減るということは、自分は人が避けるものを生産しているのではないのだろうか?との思いが頭を過ぎると言う。
勿論、今年実った桃も、すでに信頼できる機関の検査を済ませ安全であることが保証されている。
今年の夏も色づきの良い甘い桃が実った。
新鮮な桃をなるべく朝の冷たいうちに収穫して鮮度を保ちたい…。ここにも消費者への気配りを感じることができる。
「とにかく今できることは、少しでも安全で美味しい桃を作り、一人でも多くのお客様に喜んでもらえるよう努力するだけです」
ふたたび見せた斎藤さんの笑顔に強い決意を感じた。

2012年08月25日(土)